9つの「会社初期運営に必要なもの」

 

今回の記事では、会社を立ち上げたあとの「初期運営に必要なもの」についてお話し致します。

 

1. オフィス関連

1)オフィス選択

起業をされる際、多くの皆さんが「小さく始めて、大きく成長!」を望まれます。起業当時は不必要な経費は出来るだけ抑えて、もし余分に使えるお金があるならばそのお金は広告などのマーケティング費用に使いたいと思われる方が多いです。その考えには私も賛成で、弊社も起業当時は出来るだけ、広告費やマーケティング費にお金を回したものです。

 

では、オフィスについてはどうですか?最初からちゃんとしたオフィスがあった方が印象が良いですか?の質問をよく受けます。前回も申しましたように、アメリカでは自分の家を「ホームオフィス」として使われる人が多く、最初はホームオフィスでも遣り方によっては十分間に合うと思います。

 

ただもしも、「投資ビサ(E2ビサ)」を取得する際には、「オフィスを確保していることは重要で、ホームオフィスではなく、ビジネス専用のオフィスを持つことが有利になりますので、投資ビサ(E2)を申請される方には、小さなオフィスでも良いのでオフィスを構えられる事をお勧めしています。

 

2) 電話、FAX、インターネット

今の時代、ビジネスを行う上で、専用の電話、FAX、メール&インターネットを持つ事は必須だと言えるでしょう。固定電話ではなく、携帯電話をビジネス電話として使用されることは問題ありませんが、必ず会社専用の電話番号を取得するようにしてください。また電話の受け方にも気を配ってください。

 

お客様から電話があり、最初に聞くのはあなたの声で、会社の顔になりますので、最初のうちは電話の応対方法を練習されるのも良いかもしれませんね。

 

また留守番電話も一般留守番電話を使用するのではなく、独自の留守番電話を吹き込むようにしてください。

会社全体が祝日に入る場合や、長期でお休みをされる場合には、今度はいつ戻ります、緊急であれば○○にご連絡ください、などの説明を録音されるとより一層分かり易く、顧客に対して親切です。また顧客から頂く一件、一件の電話は大切ですので、電話に出れない場合には必ず早々に折り返しの電話をするようにしてください。

 

 

3) 秘書代行サービス(アドミニサービス)

次にもしも起業したばかりで、あまり経費が使えないけれど、どうしても事務の方を必要とする場合には「秘書代行サービス(アドミニサービス)」をアウトソースされる事をお勧めします。

 

事務処理が多く、一人では賄いきれない時や、ご自分が出張やミーティングに入っていて、どうしても電話に出れない事が分かっており、電話に出れない事により案件を失う場合には「秘書代行サービス」は効果的です。ただその場合でも電話の対応が上手に出来る人を選ぶ事が大切ですので、利用される会社や雇われる人材は慎重に選んでください。

 

 

4) 法人銀行口座開設

会社を設立された場合には「法人銀行口座」が必要になります。法人口座を開設する際には、

①Article of Incorporation

② FEIN(連邦番号)

が必要です。

 

たとえお一人(設立者のみ)の会社であったとしても、必ず法人の銀行口座を開設して、「法人口座」と「個人口座」を混合して使用することのないようにして下さい。

 

アメリカ起業 ビジネス 会計

2. 会計関連

5) 会計帳簿管理

起業されたばかりの会社であっても、必ず専任の会計士をお持ちになることをお勧めします。起業されたばかりの経営者の方にありがちなのですが、インボイスやレシートを保管せず、収入・支出の内容が定かでなく、そのため会計帳簿(経理帳簿)を正しく記載していないケースがよくあります。

 

「会計帳簿管理」を正しく行うことは、会社の規模に拘わらず不可欠なことですので、いくら立ち上げたばかりの会社であっても、ビジネスはビジネスとして扱い、会計処理を怠ることのないように心がけてください。

 

また毎日(毎月)の会計管理をするソフトとして「QuickBooks」と呼ばれるソフトがよく使われます。

QuickBooksソフトの使用は比較的簡単ですが、初期に勘定項目を設定する段階や、全くQuickBooksが始めての方は、会計事務所やBookkeeperの方からQuickBooksの使用方法を学ばれることが良いでしょう。

ただ本業で手一杯の方や、経理処理がいたって苦手という方は、アウトソースとして「Bookkeeper」をご利用になる選択肢も可能です。いずれにしても、会計帳簿は起業当初より正確に処理するようにして下さい。

 

6) 米国法人税申告(タックスリターン)

アメリカでの法人税申告は、連邦(Federal)、州(State)、市(City)などの各税務当局にそれぞれ申告する必要があります。連邦法人税の申告期日は通常課税年度が終了してから3ヶ月後目の15日となっています。

 

但し、日本の企業に多く見られるように、会計年度を課税年度に採用している法人で、仮に3月31日が課税年度末となる法人であれば6月15日が申告期日となります。州の法人税申告期日は各州によって異なり、連邦法人税と同じ申告期日の州もあれば、異なった申告期日の州もあります。

 

カリフォルニア州では基本的に法人税の申告期日は3月15日となっていますが、選択された会社形態や課税方法によっては4月15日が申告期日になる場合もありますので、個々の法人税申告に関する詳細は必ずご担当の会計士にご相談ください。

 

7) 給与計算業務 (ペイロールサービス)

会社が順調に成長し、雇用が発生するようになると、従業員への給与支払いがはじまります。給与支払いを行うための給与計算は従業員の給与や賞与、所得税の源泉徴収や社会保険など、複雑な計算が必要になりますので給与計算業務(ペイロール)が必要な場合にはアウトソースされることをお勧めいたします。アメリカでは、ペイロール業務を会計事務所や、比較的低価格のペイロール専門会社に委託することが可能です。

 

アメリカ起業に必要なもの

3. 人事関連

8) 労災保険・ビジネス保険

労働災害保険(労災保険:Worker’s Compensation)の規定は州によって異なりますが、カリフォルニア州では一人でも雇用者が居ると、必ず労災保険に加入する必要があります。また雇用者を持たないオーナーだけの会社であっても、アメリカは特に裁判の多い国ですので、「ビジネス保険」などの保険に加入されることをお勧めいたします。

 

9) 従業員ハンドブック

最後にアメリカでは従業員向けに「従業員ハンドブック(Employee Handbook)」と呼ばれる就業規則集があります。

アメリカの採用方法は日本と違って、新卒採用や一斉採用が少ない為、このハンドブックは従業員が会社の規約や内容を理解する上でのまず最初の文書となり得ます。ですので、従業員ハンドブックは連邦や州の最新雇用労働法に準じながら、読み易く、また従業員が理解し易いものが良いでしょう。

 

以上、会社を立ち上げたあとの初期運営情報をお届けしました。